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2009/12/21

市場社会の形成と崩壊

 世界経済の組織原理は、かつて製造業で世界を制したイギリスに端がある。自国の農業を犠牲にして食糧を輸入する選択をしたイギリスは、安く「食べて」いける状況を作り労働の価格を下げた。企業は技術開発に資金を回して競争力をつけるが、デフレになる。世界に進出し続ける限りは事業を継続できるため、国際機関を増やして平和に務める。
 しかし経済成長をしても貧困層に利益は分配されない。結果、階級の二分化が起こり、企業群からなる商業階級は立法府を通じて自由化を促し、労働者・地主階級は選挙を武器に保護を求める綱引きが始まった。政府は地方分権を進めるが、逆に自治体の仕事は肥大化する。一方、国の命題は債務返済に移っていく。

 この本が書かれたのは第二次世界大戦中だが、内容のあまりの普遍性から新訳が出た。
 ハンガリーを代表する知識人の著者が、なぜ世界経済が突如破綻し戦争に突入したかを1800年代から1940年代の政治経済から分析している。環境問題や貧困にも言及し、現代の解説書かと随所で錯覚する。
 日本のみならず、世界は当時の基本システムから土俵を変えていない。

 本書は打開案として『国際機関から独立した金融と、ある程度の計画や規制の範囲で経済を育む「複合社会」の実現』を示して幕を閉じる。

『新訳 大転換 市場社会の形成と崩壊』
東洋経済新報社
カール・ポラニー 著
野口建彦 / 栖原学 訳
ISBN:9784492371077 5,040円(税込)
新訳 大転換 市場社会の形成と崩壊

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